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幸せへのステップ2

前回の話→幸せへのステップ1

まずは事実を受け入れることから頭の整理をつけなければ、暗闇から抜け出せないことがわかってきました。このような出来事が起こり、事実はこうなのだと。

というのも私はしばらくの間、もしかしたら旦那に起こったことが夢なのではないかと、いや夢であったらいいのに!と、彼の片目失明以来、朝目覚めたらずっと思っていました。そう思うことは、現実から逃げ出したいという強い表れだったのです。

5年前の春を最後に、彼の片目には真っ黒のカーテンが引かれました。その後、何も色形になるものは映し出しませんが、かろうじて生きてるであろう部分の視神経が脳に伝達し、チカチカとした光だけを時折目に映し出しています。
片目の視界を失った瞬間から、もうとっくに彼は現実を目の当たりにしていましたから、それを受け入れていたのだろうと思います。後悔の念と今後の人生への不安だけが、彼を苦しめていました。

私はなんとかこの堪え難い現状から抜け出さなければと思うも、思考は麻痺したかのごとく、そこから逃げることばかりです。長い間苦痛に耐えると、人はやがて闇に葬り去られ、そこから這い上がることができなくなってしまいます。
そうなる自分を救おうと、私はその間も毎日コンピューターの前に一度に最低でも2・3時間は座って、必死で病気についての情報を探し続けました。病気についての実情を知り、良くも悪くもすべてを受け入れたいとおもいました。

視神経炎で失明するとは、どのサイトにも書いてありませんでした。ただある一つのサイトで、まれにあり得るとの記述を目にした気がしますが。医者が言った通り、異例のことであったのはほぼ間違いありません。

とにかく今思うことは、あの一週間、不運が重なって、決断が遅れて、私たちは最後の最後まで目を救うチャンスを手にすることができなかったということ。見捨てられ、まるで切り捨てられるように、良き人との出会いに恵まれなかったことが最大の不運であったと気づき、悲しみを増長させました。

幸せへのステップ3

 


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