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幸せへのステップ3

前回までの話


いくら病名をネットで探し続けても、私が病気について知れる事実には限界がありました。つまり、私の旦那に起こったことは非現実的なこと。けれど、それによって私たちの生活が一変したというのは紛れもない事実でした。

ネットは便利ですが、実際は嘘も真実も混ざり合った世界です。旦那は当時社会人大学生でしたから、論文を書くときによくこう話していました。「ネットから証拠を引用すればすべて没にされる。信憑性に欠けるからだ。」と。
今思えば、本来は図書館にでも行って医学の専門書を開けるべきだったのでしょうが、当時の私は何かひらめいて、自発的に行動を起こすような精神状態ではなく、毎日買い物に行くのがやっとというような状態でした。

悲しみの果てに、暗闇の向こうに、私が本当に見たかったもの。それは、これからの私たちの人生が大丈夫だという保証。片目で生きて行くとは、どういうことなのか。不安で行く先を見失った私は”片目失明”のキーワードを使って、ひとすじの光を探し求めたのです。
一気に崩れた生活をもう一度立て直すために、再び何かを信じ、信じたことを自らの事実とし、前に進んでいかなければいけないと思いました。


片目失明のキーワードから、多くのサイトやブログにヒットしました。片目で生きている人がこんなにもいる。今までに見たことのない新たな世界に足を踏み入れたようでした。

ところが、次から次へと読み進めてみても、どのような経緯で片目失明に至り、どのような心境でそれを乗り越え、現在どのような暮らしをしているのかをまとめて綴ったようなサイトやブログに出会うことはありませんでした。それだけを綴るというのはまずなく、少しだけ日常の話の中や紹介文にでてくるぐらいで、どれも私が知りたかったその肝心な部分には触れていない状況でした。

しかし、その中で見つけました。たったひとり、当時日本でたったひとり、そのすべてを綴っていた人を。
困難を乗り越え、立ち上がっていく過程を読んだとき、私はこの数カ月で一生分ほど流した冷たい涙が熱い涙に変わったことを実感しました。
’もう同じ病名の人を探すことなんてない。旦那と同じ道を辿りながら、この人のように私たちの一歩も二歩も前を歩いてる人を今後の目標とし、私たちも乗り越えられると信じて生きていかなければならない’と思いました。その時、光のない深海から一気に身も心も引き上げられた瞬間でした。
私はその方に、コンタクトを取る決心をしました。

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